百田尚樹さん著の、美容整形する主人公を描いた小説『モンスター』を読んだ感想です。
もともと、『永遠の0』や『海賊と呼ばれた男』ですっかり百田さんファンになった妹ちゃんが買ってきて読み始めたのですが、あまりの壮絶さに挫折してしまったらしく、
「お姉ちゃん、読んで」
と頼まれたのが読むきっかけでした。
醜い顔に生まれた主人公「和子」の美容整形の過程と、美しくなった彼女が自分を虐げた相手に次々と復讐を遂げていくシーンが同時進行で描かれます。
初恋の相手を失明させかけたことから町を離れ、名前を変えて働き、お金を貯めながら美容整形をしていきます。
とうとう工場の賃金では足らず、SMクラブや風俗で働くようになる「和子」改め「未帆」。
SMクラブ、風俗、AV業界の整形事情が描かれていて、百田さんしっかり調べて描いてるなー、と思いました。
そんな「未帆」のことを認めてくれていたのが、風俗店のマネージャー。
「田舎に帰ろうと思ってる。お前も来ないか?」と誘ってくれたのです。
「未帆」はある目的のため、「子どもがいる」と嘘をつきますが、マネージャーは「その子の父親になる覚悟がある」とまで言ってくれます。
しかし、マネージャーはそこまで言ってくれたのに、「未帆」は断ってしまうのです。
もしかしたら、マネージャーと幸せになれたかもしれないのに。
そこまでして達成したい目的は、「初恋の相手と結ばれること」。
「未帆」は不倫という形でその初恋の相手と結ばれますが、くも膜下出血で死んでしまうのです。
妹ちゃん曰く、
「『モンスター』は男女で評価が分かれるらしい。男性は『主人公の人生は不幸だった』と評価するが、女性は『主人公は幸福だった』と評価するらしい」
とのこと。
「未帆」の死に顔は「幸せそうだった」と描写されていることから、私は「それなりに幸福だったのでは?」と評価します。
どんな形であれ、美しさと初恋の相手を手に入れることができたのですから。